【インタビュー】京都市立芸術大学 打楽器奏者「黒澤雄太」が語るソリスト選出までの軌跡と調性音感との出会い

先日開催された京都市立芸術大学コンサートで、ひときわ強い存在感を放っていたソリスト、黒澤雄太さん。ハイレベルな強豪たちの中からソリストを勝ち取った新進気鋭の打楽器奏者である黒澤さんに、音楽の道へ進んだきっかけや、演奏にかける想い、Ratatone®の調性音感トレーニングで培った能力について、深くお話を伺いました。

 

*記事の最後に調性音感トレーニングの成果を示すビフォーアフター動画を掲載しています。


 

黒澤 雄太 / Yuta Kurosawa

【プロフィール】

2004年生まれ、大阪市出身。12歳より打楽器を始める。
令和7年度公益財団法人青山音楽財団奨学生。第30回KOBE国際音楽コンクール打楽器C部門にて奨励賞受賞。第26回長江杯国際音楽コンクール打楽器部門大学の部にて第5位入賞。
第177回京都市立芸術大学定期演奏会にて、鈴木優人氏の指揮のもと京都市立芸術大学音楽学部・大学院管弦楽団と協演。
これまでに打楽器を葛西友子、森本瑞生、中村功、中山航介、堀内吉昌、真鍋明日香、マリンバを沓野勢津子、大茂絵里子の各氏に師事。
現在、京都市立芸術大学音楽学部管・打楽専攻4年次在籍。

2025年7月に京都コンサートホール大ホールで開催された「京都市立芸術大学音楽学部・大学院音楽研究科 第177回 定期演奏会」でソリストに選出。


まずは自己紹介から!

 

 

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コト: 本日はお忙しい中ありがとうございます。まずは黒澤さんの自己紹介をお願いします。

黒澤さん サムネイル

黒澤さん: 黒澤雄太です。2004年生まれ、大阪市出身で、現在、京都市立芸術大学の音楽学部で管・打楽器を専攻しています。最近では、ありがたいことに「第30回KOBE国際音楽コンクール」で奨励賞をいただいたり、学生支援の奨学生に選んでいただいたりしました。

音楽を始めたきっかけは「なんか楽しそう」という想い

 

 

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コト: 素晴らしいご経歴ですね!昔から音楽の道を目指していたのですか?

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黒澤さん: いえ、実は子どもの頃はほとんど音楽に触れてこなかったんです。体験で音楽教室に行ったこともありますが、当時はあまり乗り気ではなくて。本格的に始めたのは、中学校の吹奏楽部がきっかけです。

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コト: 吹奏楽部ですか!何か特別な理由が?

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黒澤さん: 当時、部活を卓球部と吹奏楽部で迷っていて(笑)。見学に行った吹奏楽部の先輩たちがとても楽しそうに演奏していたのが印象的で、こちらの方が楽しそうだ、と。五線譜を読むのが苦手だったので、リズムが中心の打楽器ならいけるかな、という少し安易な気持ちもありました。

漠然としていた音楽への想いが膨らみ続け
高校普通科から京都市立芸術大学へ

 

 

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コト: 中学卒業後は普通科の高校に進学されていますね。音楽の道に進もうと決意されたのはいつ頃だったのですか?

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黒澤さん: 高校1年生の夏、吹奏楽部に入って3ヶ月ほど経った頃です。その時、はっきりと「音楽の道で生きていきたい」と考えるようになりました。ただ、音楽大学に入るために何をすればいいのか全く分からなかったので、部活のコーチに来ていただいていた方に相談したのが第一歩でした。

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コト: 高1で進路を考えるって自律されていますよね。音大を目指すって難しそうなイメージがあります。進路を決めてからはどんな活動をされたのですか?

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黒澤さん: 先生からはまず、音楽大学の受験には「ソルフェージュ」という、楽譜の読み書きや聴き取りの基礎訓練が必要だと教わりました。そこからですね、専門的なレッスンを探し始めたのは。ソルフェージュは週に1回、打楽器のレッスンは先生のご都合に合わせて月に1〜3回というペースで通っていました。

音楽を「聴く、考える、実践する」というレッスン方法

 

 

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コト: そのレッスンはどのようなものだったのでしょう?

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黒澤さん: 特に打楽器の先生の教え方が、今の自分の礎になっています。先生は直接的な答えを教えるのではなく、「どうしてそのように叩くのか」「その音にはどんな意味があるのか」を常に私に考えさせる指導法でした。

例えば、基本的なリズム練習一つとっても、「このテンポだとどう聞こえる?」「四分音符と八分音符での叩き方の違いでニュアンスがどう変わる?」といった問いを投げかけ、僕が作った演奏に対してフィードバックをくれる、という形です。

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コト: ご自身で考える力が求められる、高度なレッスンですね。

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黒澤さん: はい。でも、それがすごく楽しかったんです。自分に合っていたというか。先生のことを信頼していて、先生に「なるほど」と言わせるために、色々な演奏パターンを考えて準備してました。YouTubeでプロの演奏を聴き漁ったり、演奏会に足を運んでヒントを得たり…。自分の中に音楽の「引き出し」が増えていく感覚に夢中でした。好きだったからこそ、苦にならなかったんだと思います。

打楽器の魅力は自由度の高さ

 

 

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コト: 高1で本格的に音楽を始めて、京都市立芸術大学という狭き門に入学し、管・打楽器を専攻されているとは驚きです。黒澤さんを惹きつける打楽器の魅力とは何でしょうか?

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黒澤さん: やはり、楽器の種類の多さですね。ピアノやヴァイオリンは一つの楽器で多彩な音色を追求しますが、打楽器は組み合わせ次第で表現が無限に広がります。西洋音楽の楽器だけでなく、世界中の民族楽器も使いますし、時には楽譜に「鉄の板」や「調理用のボウル」なんて指示があって、自分で音を探しに行くこともあるんですよ。その自由度の高さが最大の魅力です。

学年トップたった一人だけが立てるソリストの舞台

 

 

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コト: 先日の定期演奏会では、見事にソリストを務められていました。あれはどのようにして選ばれたのですか?

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黒澤さん: 学内でオーディションがあるんです。各専攻(管・打楽器、ピアノ、弦楽、声楽)の約60人近くの中から成績上位者1名ずつ、計4名がまず選ばれます。その4名で最終オーディションを行い、ソリストが1名決まります。先生方によって選出されるのですが、正直、自分が選ばれるとは思っていませんでした。

コト サムネイル

コト: 60人!? かなりの狭き門を突破されたのですね。ご自身では、選ばれた理由をどう分析されていますか?

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黒澤さん: 先生方から明確な理由は聞いていませんが、自分なりに考えると、演奏した楽曲の解釈を深く突き詰めたことかもしれません。「なぜ作曲家はここに休符を入れたのか」「このリズムにはどんな意図があるのか」といったことを、楽譜から徹底的に読み解き、自分なりの表現を追求しました。ピアノとの音量バランス、バチの選択、リズムの変拍子などの方向性などをいつも以上に細かく研究したことも良かったのかもしれません。
高校時代の恩師から教わった「自分で考える力」と大学の授業で学んだ楽曲分析の知識が、ここで活きたのだと思います。

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コト: 素晴らしい探求心!定期演奏会をホールで聴かせてもらいましたが、鳥肌が立つほどに感動しました。聞くところによると、1曲の中で30種類ちかい楽器を弾き分けていたとか。

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黒澤さん: はい、そうなんです。楽曲を覚えるだけでなく、30種類の楽器の演奏順や演奏のニュアンスを覚えるのがとても大変でした(笑)

調性音感トレーニングで向上した「音の解像度」

 

 

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コト: ところで、弊社のRatatone®「調性音楽トレーニング」にご協力いただきましたが、その経験はご自身の演奏に何か影響を与えましたか?

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黒澤さん: はい、とても大きな影響がありました。一番の変化は、曲の終止形(カデンツ)非常にはっきりと聴き取れるようになったことです。

以前はオーケストラや演奏全体の響きを漠然と捉えていましたが、トレーニング後は「どの楽器のどの音がどう動いて、この和音になり、解決に向かっているのか」というプロセスを、より具体的に理解できるようになったんです。周りの音を聴く解像度が格段に上がりました。

特に、楽曲の中で「トニック、ドミナント」の感覚が捉えられるようになり、明らかにその感覚が打楽器の演奏スタイルに影響しています。

コンサートバスドラムを例に挙げると、これまでの演奏は、ただマレットを振り下ろすだけでした。今は、ドミナントの緊張感を表現するためにマレットのストロークスピードを変えたりミュートの量を変えています。

目指す将来の夢

 

 

コト サムネイル

コト: それは嬉しい変化です!Ratatone®が少しでもお役に立てて、これほど嬉しいことはありません!最後に、黒澤さんの将来の夢を教えてください。

黒澤さん サムネイル

黒澤さん: ここまで音楽を続けてきたからには、やはり音楽で生きていきたいです。オーケストラの団員になるのが一つの夢ですが、それだけでなく、クラシック音楽の枠にとらわれず、様々な視点から音楽の楽しさを伝えられるような活動もしていきたいと考えています。

コト サムネイル

コト: 素晴らしい夢ですね。これからのご活躍を心から応援しています。本日は貴重なお話をありがとうございました。


さいごに

 

 

常に穏やかな表情で、しかし音楽のこととなると熱い探求心をのぞかせる黒澤さん。彼の演奏の深みは、こうした真摯な姿勢から生まれているのだと、改めて感じさせられました。今後の更なるご活躍が楽しみです。


黒澤さんが実施した「調性音感トレーニング」とは?

 

 

今回、黒澤さんが実施された音感トレーニングは、「調性音感トレーニング」として、私たち株式会社コトRatatone®プロジェクトが開発したトレーニングメソッドです。

音の響きを「響きそのもの」として捉えることに重点をおいたメソッドで、黒澤さんはいくつかのトレーニングを経て、音を「音高」として捉えるのではなく「響き」で捉えることができるようになりました。

次の動画は、トレーニング初期とトレーニング後期の成果です。
(嬰ヘ長調(Key=F#)の和音の響きを捉えるトレーニング)
響きを聴いた後の回答スピードと回答精度が抜群に向上しているのがわかります。

 

 

 

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